Thinkpad X210を買った。
やたら古いPCに見えるかもしれないが、こう見えて実はこの中身は 2019-05-21 現在(ほぼ)最新スペックが詰まっている。CPU: i7-8650U、WUXGA液晶(2880x1920)、NVMe SSD対応、DDR4、802.11ac対応などだ。
Thinkpad X210は中国のOld Thinkpadのファン達が開発した同人Thinkpadで、主に51nbというフォーラムを中心に開発された。
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X60, X201, T60など、古き良き時代のThinkpadの筐体をベースにマザーボードをファンベースのコミュニティで設計して、古い筐体に入れて最新の構成で使えるようにしたものなのだけど、今回はX201sの筐体をベースに開発されたX210をLCDFansから手に入れた。
LCDFansというのは、51nbが開発したマザーボードを筐体に組み立て済みの状態で販売してくれる中国の業者で(おそらく個人規模の運営)、さすがにノートPCの組み立てを一からやるのは辛かったので今回は発注した。LCDFansで注文するとメモリとストレージとバッテリーを除いた組み立て済みの筐体を送ってくれる。
注文の流れはLCDFansのメールアドレスに在庫確認のメールを送ると返信が返ってくるので後は色々振込等のやり取りをして進めればOKだった。
ただ返信がけっこう遅く色々やり取りしつつX210が届いたのは結局最初のメールから2ヶ月後だったので急いでる場合とかはきついと思う。意図的にそうしているのでもないと思うけど基本的にこちらから返信を催促しないと返信がなく、一度の催促では返ってこない場合もあって2日くらい間を置いて再度催促しないと返信が来ないこともあった。
具体的なタイムラインとしては以下のような感じだった。
- 4/6: 在庫確認のメール送る
- 4/6: 返信来る。振込先、金額など記載
- 4/8: 振り込む。振り込み通知メールを送る
- 4/10: 返信がないので返信催促のメール送る
- 4/17: 返信催促から1週間後にやっと振込確認のメール来る。出来る限り早く送るとのこと
- 5/11: 既に送ったかの確認のメール送る
- 5/17: 返信ないので返信催促のメール送る
- 5/21: 郵便番号がないので送ってくれと返信が来る(発送してなかったんかい)
- 5/21: 郵便番号を返信する
- 5/27: 郵便番号に対する返信がないので大丈夫?メール気付いてる?と送る
- 5/28: X210届く(最初のメール送信から約2ヶ月)
基本的にメールの返信とかかなり雑で発送通知メールとかもなかったし、今一メールを確認出来ているのかも分からないので基本的にはこちらから催促したり返信が欲しいことを明記する形で進めていった方がいいかもしれない。Facebookのポストによると米国との貿易戦争などで国外とのやり取りが厳しくなっているらしく、銀行口座からお金を引き出せないなどの問題も発生しているらしく、それに伴い国外の対応が遅くなっているのかもしれないが…この辺りのやり取りが面倒なら代行業者でも挟んだ方が早いかもしれない。
振込はWestern Unionという国際送金サービスを指定された。大黒屋に行って送金したのだけど、「利用目的は?」と聞かれるので「ショッピングで」というと、海外送金詐欺対策でリジェクトされる。「友人へのギフトで」と言えばOK。送金用紙の送金目的記入欄も友人へのギフトにチェックしないとたぶんダメ。
入金したよメール送ってから返信があるまで1週間くらいかかったので本当は詐欺じゃないのかと割とドキドキだったけど、無事届いてよかった。
で、届いてからバッテリーとストレージとメモリを追加で買った。
- ストレージ: Samsung 970 EVO Plus NVMe SSD 512GB
- メモリ: CFD PC4-21300(DDR4-2666) D4N2666PS-16G * 2
- バッテリー: World Plus 互換バッテリー 9セル
メモリは底面のメモリマークがあるネジ2カ所を外して装着するだけなので簡単だったが、ストレージの追加はX201sの保守マニュアルなどを見つつ、裏蓋を開けて、キーボード、パームレストを取り外してパームレスト下のM.2スロットに差し込んだ。といっても危険な箇所はないので無駄に力入れてパームレスト壊したりとかしなければ大丈夫だと思う。
一度キーボードを外した時にトラックポイントの接触が悪くなりデバイスを認識しなくなったときがあったので、キーボードは元の位置をちゃんと意識して付けたほうがいいかもしれない。
M.2 NVMe SSDはそれなりに発熱が強く熱対策しないとパームレストがアチアチになってしまうので熱が気になるようであれば、2.5インチSSDスロットもあるのでこちらにストレージ追加でもいいかもしれない。またmini-PCIスロットが2つある(一つは既にBroadcom社製WLANカードBCM94360CS2が装着済みだった)ので片方にmini PCIe SSDという構成にしてもいいかもしれない。
Linuxではクリーンインストール後にWiFiカードが認識出来なかったので以下のコマンドでBroadcom製のWiFiカードのドライバーをインストールした。
sudo apt-get install bcmwl-kernel-source
Windowsも同様に初期状態ではWLANカードを認識出来なかったのでドライバーをインストールしたら動いた。
一通り起動が確認出来たらBIOSをアップデートしていく。 国内では利用ユーザ自体がほぼいないため情報が少ないのだけど、minasesangoさんがなんとマニュアルをまとめているので参考にさせて頂いた。
BIOSアップデートが済んでいろいろ動作確認していたら一つ問題が発生して、ACアダプタを抜いてバッテリーのみの状態でWindowsにログオンすると急に落ちるという現象が発生したのだけど、何の予告もなく突然死するので電圧周りかなぁと思いBIOSでTurbo ModeのCore Ratio Limitを42→35辺りに落としたら安定して起動するようになった。 Linuxでは初期状態で起動出来ていたがWindowsのログオン時のみTurbo Modeになっていたようだ。
他にもWindowsで蓋を閉じてスリープ後に復帰するとトラックポイント(赤ポチ)が動かなくなってドライバーを再インストールして再起動するまで使えないなど結構人によってはきつい問題もあった。Linuxではスリープの問題もなく、トラックポイントも正常動作して起動も問題なかった。もちろんこれは同人Thinkpadであり、ファングッズなので、製品版のような完璧な動作を期待する人向けではないということを理解しつつある程度の割り切りが必要になる。
あくまで自分達でマザーボードを設計してカスタムのBIOSまで作っても古い筐体を使いたい熱烈なOld ThinkpadファンによるThinkpadファンのためのもので、完全な動作とサポートが欲しければ素直に最新のThinkpadを買った方がいい。不便さを受け入れてもOld Thinkpadにしかない完璧な打鍵のキーボード、保守面も含めた筐体としての美しさを楽しみたい人達のための同人作品なのだ。
本来なら公式が復刻版のようなものを作ってくれるといいのだが、期待を込めて作られたThinkpad 25はT470の筐体を使いまわしてキーボードのみ7列を復刻したもので、期待以上のものにはならずOld Thinkpadファンは肩を落とした。16:9ディスプレイや額縁の広さ、スペックの微妙さ、$1900を超える価格、解像度の微妙さ等、公式でアンケートまで取って開発された割には予算が割り当てられなかったのか…。
とにかく昔のThinkpadには独特な魅力があり、その無骨さや仕事をこなすための道具としての機能美があるのでこうやって10年近く前の筐体を再利用してでも愛されているのだと思う。